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[NCAA短評]No Paterno-lism

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Penn State Fires Paterno, President Amid Scandal(NPR news)
No. 19 Nebraska hangs on to beat somber Penn State (ESPN)
Blinded by Penn State’s utopian vision (Philly.com)

当然ながら日本では全く報道されなかったニュースですが、この1週間以上アメリカでは”Penn State”という言葉を聞かない日は全くありませんでした。

“Penn State”それはフットボールチームのヘッドコーチ、ジョー・パターノと同義語です。パターノは1950年からPenn State、つまりペンシルバニア州立大学のフットボールチームのアシスタントとしてその経歴を始め、1966年からこれまでずっとこの大学のフットボールチームを指揮しました。その間にはチームを何度となく正月のボールゲームへ導き、2度の全米優勝、5度の無敗シーズンを果たし、通算409勝を挙げています。これはトップカファレンスのカレッジフットボール界では一番の成績です。プロスポーツ同様に入れ替わりの激しいフットボールのヘッドコーチの世界において、パターノがこれほどまでに長い期間指揮を執ることができたのは、戦術だけでなく選手への教育をも怠らなかったからでしょう。

しかし、パターノは大きな不作為を犯しました。いや実際に罪を犯したのはパターノの部下であったかつての守備コーディネーターのジェリー・サンダスキーでした。落ちこぼれの子供を救う財団をも運営していた(そこにはパターノも関わっていた)サンダスキーは、2002年にある男の子に対して校内のシャワールームで性的ないやがらせを行いました。アメリカのニュースサイトではその内容も書かれていますし、捜査記録も見ることができますが、それはあまりにもおぞましいとしか言えないものです。サンダスキーは当然ながら逮捕されましたが(それでも無実を主張)、パターノと大学関係者は、記事にも書かれているように、この事件を知りながらも警察には通報しませんでした。

One key question has been why Paterno and other top school officials didn’t go to police in 2002 after being told a graduate assistant saw Sandusky assaulting a boy in a school shower.

これが大学ぐるみ、そしてパターノによる「もみ消し」とみなされ、サンダスキーの逮捕後、パターノもその責任を負うべきという声が高まりました。

この事件の発覚以前から、高齢のパターノに対しては、健康問題だけでなく、ここ最近の成績の伸び悩みや、かつてのようにトップクラスのボールゲームへ出場できない現状から、もうコーチとしての頂点は既に過ぎたという声はありました。パターノ自身も2004年に引退するか、引退までの道筋を立てるように促されましたが、自宅へ説得に来た体育部長などを追い返しました。しかしそうは言ってもパターノは学長以上に大学の顔ですし、今シーズン、チームは久しぶりにローズボールへ出場できるのではないかというくらいに好成績を上げていました。それがかえってパターノの偉大すぎる存在から来る問題の複雑さを産んだように思います。

パターノへの道義的責任が日に日に強くなっていく中、水曜日(11/9)にパターノは「今シーズン限り」のコーチ引退を表明しました。しかし10日から11日に日付が変わろうとする頃、大学の評議会がパターノと学長の即刻解雇を命じました。かつて体育部長が自宅まで行って引退を促しながらも、それを突っぱねたパターノの元へは、解雇の旨が電話で伝えられたといいます。皮肉なもので、もしパターノはサンダスキーの件を警察へ電話をしていれば、このようなあまりにも冷たい形でその偉大なコーチ人生を終えることはなかったでしょう。そしてこのニュースが伝わると、大学の生徒からはパターノをコーチへ戻せという抗議運動が起こり、一時は静かな大学町が総動員の警察と抗議す大学生のにらみ合いの場になったほどです。

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そして一連の騒動が明けた13日、ペンシルバニア州立大学はネブラスカを迎えての試合、ジョー・パターノが46年ぶりにいない中での試合を臨時コーチの下で戦いました。この試合では両チームの選手たちが今回の事件で犠牲になった子供たちへ祈りを捧げる場面もありましたが、ペンシルバニア州立大学の勝利をもって再生を図ろうと捧げた願いは叶いませんでした。

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この事件を遠くから眺めていて、いろんなことを感じさせてくれました。まずは子供に対する性的いたずら(molestation)に対しての視線がアメリカではどれだけ厳しいものであるかということです。数年前にカトリック教会の司教などがやはり教会に集まる男の子に対して今回のようないたずらを犯したことがありました。このときはその閉鎖的なカトリック教会の社会があぶり出されましたが、今回はパターノの不作為だけでなく、大学の閉鎖的な態度も槍玉になりました。

もうひとつは、大学スポーツの影響力の大きさです。特にペンシルバニア州立大学のような有名校で、ジョー・パターノという超有名なヘッドコーチが間接的であっても関わった事件に対して、全米中のみならずBBCでも報道されたほどです。同時にペンシルバニア州立大学といえども、地元社会との関わりあいやつながりが重要視されています(この点が日本の大学では希薄なところだと思います)。小規模な大学や高校での事件であれば、地元メディアのトップニュース程度の扱いだったでしょう。しかし今回は大企業並みの不祥事として地元社会だけでなく全米で誰もが注目するニュースになりました。

今回の一件は、フットボールチームの活躍によりメディアに多く出ることが許されるという商業的な側面と、大学本来の教育的側面、地域社会から得られる信頼関係の側面、そして金でも教育でもないそれ以前の倫理的な面がすべてあぶり出されました。NCAAフットボールは、この1年間に有力校を率いたふたりのヘッドコーチ、オハイオ州立大学のジム・トレッセルとペンシルバニア州立大学のパターノが、成績の悪さではなく、選手及びチーム周辺の不祥事によりその職を失いました。誰がこのような事態が起こると予想できたのでしょうか。

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