Heat fans leave early during Finals Game 6, missing dramatic overtime victory

Heat Survive To Force Game 7 – YouTube

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[NBA短評]Rest and fine

San Antonio Spurs sit 4 of top 5 scorers vs. Miami Heat – ESPN (2012/11/30)
Spurs Nation: Big Three-less Spurs give Heat fits (2012/11/29)
Pop Can’t Dance Out Of This One « NBA.com | Hang Time Blog (2012/11/29)
Popovich angers Stern by resting Spurs’ stars, but it’s the right call – Michael Rosenberg – SI.com (2012/11/29)

スポーツの世界においては、かのヴィンス・ロンバルディ曰く「勝利だけが全て」です。しかし勝つためには何でもやっていいわけではなく、当事者たちは明確なルールの枠内において戦わなければなりません。しかし、究極の勝利である優勝を目指すため、そうしたルールにないことを行うことは本当に悪いことなのでしょうか。

サンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチHCは、ロードゲームと連戦続きであることと選手の年齢面などを考慮した上で、チームのスター選手、いやリーグのスター選手とも言っていい、ティム・ダンカン、マヌ・ジノベリ、トニー・パーカーのスパーズにおける「ビッグ3」と、ダニー・グリーンのレギュラークラス4人を先発から外しました。彼らは商用の飛行機に乗り(つまりチーム専用機ではなく)、遠征先からサンアントニオへ戻りました。そしてスパーズはほぼ控え選手だけ9人で11月21日から始まったロード7連戦の最終戦に臨みました。その相手が、昨シーズンのチャンピオンである、マイアミ・ヒートでした。

アメリカのプロスポーツ界ではごく普通に行われていることですが、ヒートはスパーズのような人気のある強豪相手との試合において、チケットの価格を高めに設定しています。またこの試合は地上波ではないにしろ全米放送されていました。両カンファレンスを代表するチームの対戦であるのだから当然のことです。しかし、仕事を終えて帰ってきたNBAのファンにとっては、この試合はまさにこんな状況だったのではないでしょうか。

Did you have the beer and soda on ice? The sandwiches made? The pizza ordered? Your favorite chair smack in front of the big screen TV?

To watch Matt Bonner, Gary Neal, Patty Mills and Nando de Colo battle the defending champion Heat?

純粋なファンの視点からしたら、ポポビッチの決断は理解できないところはあるかもしれません。あのヒートを相手にして控え選手だけで戦うなんて、通常のチームであれば行いません。一方でスター選手はチームにとって商品であり、チームそのものです。ヘッドコーチはそうした選手たち、特に大ベテランのダンカンのような選手を、ときどき休ませながら長いシーズンを戦いぬきます。このことは、特に長期連戦が日常的なメジャーリーグではごく当たり前に行われていることです。

ポポビッチはこれまでもスパーズの「ビッグ3」を休ませたことは何度かありました。だからこのこと自体は珍しいことではありません。ただ、今回はヒート相手にそれをやってしまうのか、というところに騒ぎの発端があります。そしてその火に油を注いたのが、コミッショナーのデビッド・スターンの試合前の発言でした。

This was an unacceptable decision by the San Antonio Spurs and substantial sanctions will be forthcoming.

なんと、スターンは今回のスパーズの対応に対して罰金も辞さないとしました。これまでポポビッチは同じようなことをしてきたのに、スターンはスパーズに対して罰金を科したことはありません。もっといえば、この場合に罰金を科す、などという明文化されたルールもありません。ただし、ESPNの記事によると、1984-85シーズン及び1989-90シーズンのロサンゼルス・レイカーズがプレイオフ前に主力級を休ませた際に、罰金を払わされたことがあります(プレイオフに主力を休ませることは、特にNFLでは当たり前に行われていることではあるけど)。また、スパーズは過去ロードゲームにおいて同様の作戦を行った際に、リーグからの聴取を受けたことがあるようです。恐らく、スターンはポポビッチがスター選手を休ませたこと以上に、ポポビッチがスパーズ@ヒートという”marquee match-up”と呼ばれる試合で、このような決断を下したことに一種の怒りを感じたことでしょう。

平均より高い金額を払って観に来たファン、これがスパーズにとってシーズン唯一のマイアミでの試合であること、TNTにより全米放送されている、そしてリーグの面子を考えると、スパーズはスター選手を出場させてあげるべきだとも思えます。しかし、ポポビッチはこの決断を昨日今日ではなく、今シーズンのスケジュールが出た今年の7月の時点で下していました。ポポビッチにしてみれば、スター選手に休みを与えるつもりだったロード7連戦の最後がたまたま昨シーズンのチャンピオンだっただけだったのです。むしろ、鉄のような硬い意思(iron-willed)を持つポポビッチは、自分の決断は当然のことであり、チームにとって最適なことだと述べています。

It’s the best thing for our team. Everybody has to make decisions about their schedule. We’ve done this before in hopes we’re making a wiser decision and not a macho decision. Perhaps, it’ll give us an opportunity to stay on the floor with Memphis on Saturday night.

実際、スパーズの11月後半のスケジュールを見ると、ポポビッチの決断も正しいのではないかと思えてきます。ロードでの移動も考えれば、これは30代のスター選手を抱えるスパーズにとって決して楽なスケジュールではありません。それは、ポポビッチが「スパーズが若い選手が多いチームだったら、このようなことはしなかっただろう」と述べている点からも明らかです。

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ちなみにヒートの11月後半のスケジュールはスパーズのそれに比べると余裕があるものになっています。

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そして、スパーズの9人の選手とポポビッチは、今回の決断は全くもって間違っていなかったことを試合でも証明しました。スパーズは試合終盤までヒート相手にリードを奪っていました。最終的にはヒートが逆転し105-100でスパーズは負けましたが、レイ・アレンはスパーズの頑張りに敬意を払っているほどです。

My hat is off to the Spurs. They pushed us to the limit.

また、ネット界の一部でも、スパーズに対してのねぎらい(というより、よくぞ控えメンバーで「あの」ヒートを苦しめてくれたという気持ち)が表明されていました。

仮にもしスパーズがこの試合で50得点しかできなかったとしても、ポポビッチは間違った決断をしていないと思います。長いシーズンを戦い抜く上で、チームは全勝できるわけではなく、語弊を恐れずに言えば、ある程度の負けも計算しなければならいのです。今回スパーズにとってのそれがたまたまヒート相手だっただけで、そのことが大騒ぎの発端になっただけです。これが仮にワシントン・ウィザーズ相手であったとしても、ポポビッチはきっと同じことをしていたでしょう(ただし少なくともメディアはここまで騒がないはず)。それどころか、スターンがチームや選手に罰金を科すことを趣味にしたいだけなのではないかとすら思えてきます。

そして、スパーズはこの試合よく戦いました。同時にスパーズは他のチームに対して、ベンチプレイヤーも実力があることを証明できました。チャンスを得た選手たちは、それこそ自分たちこそがこの試合ではダンカンであり、ジノベリであり、パーカーであるという気概を持って戦いっていたはずです。ガードのゲイリー・ニールはこのように語っています。

As an NBA player, it’s your job whether you’re short-handed or whether you have too many hands.You go out and you compete and you leave it all on the court. That’s what we get paid to do.

しかし、そうした結果に関係なく、有言実行のスターンは早速スパーズに罰金を科しました。それ金額はNBAの「罰金史」でも史上5番目の高さ、25万ドルです。

San Antonio Spurs fined by league | NBA.com (2012/11/30)

The result here is dictated by the totality of the facts in this case. The Spurs decided to make four of their top players unavailable for an early-season game that was the team’s only regular-season visit to Miami. The team also did this without informing the Heat, the media, or the league office in a timely way. Under these circumstances, I have concluded that the Spurs did a disservice to the league and our fans.

スパーズはNBAの明文化されたルールを破ったのではなく、2010年4月のNBA理事会による「チームがNBAの最適な利益に反する形で選手を休ませる事項(resting players in a manner contrary to the best interests of the NBA)」に合致した、とリーグは説明しています。スター選手が出なかった点ではNBAの利益は損なわれたのだろうけど、試合展開や結果を考慮した際、11月29日に出場したスパーズの選手たちはNBAの”best interest”ではない、ということなのでしょうか?

ちなみに、AP通信のBrian Mahoney氏によると、この2010年の理事会声明に関して、スターンはこのように語っていたということです。

After that meeting, Stern said nothing had been established. Stern, commenting after that meeting about discussion of teams resting healthy players, said there was “no conclusion reached other than a number of teams thought it should be at the sole discretion of the team, the coach, the general manager and I think it’s fair to say I agree with that, unless that discretion is abused.”

つまり、スターンはチームの自由裁量が乱用されない限り(unless that discretion is abused)、そのチームやGMの裁量によって健康な選手を休ませることに同意(I think it’s fair to say I agree with that)と言っていたのです。今回、スターンとポポビッチのどちらが自由裁量を乱用しているというべきなのでしょうか。

ただ、NBAに限らず今のアメリカのプロスポーツは、全米だけでなく世界中からのファン獲得のため、イメージ戦略をものすごく重要視しています。リーグは汚い面が少しでも顔を見せたらそれを拭き取ろうと躍起です。そのため、かつてはなんともなかったことに対してもルール改定やコミッショナー声明で規制を掛けたり、罰金を科すようなことが増えてきました。今回の罰金措置もその流れなのかもしれません。

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