Foot injury sidelines Pablo Sandoval and could hobble Giants

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[2012ワールドシリーズ第4戦]改めて振り返って


Return to splendor: Giants champions again – MLB.com (2012/10/29)
Giants’ second time around is even better – SFGate (2012/10/31)
Mike Bauman: World Series a shared triumph for Giants | MLB.com: News (2012/10/29)
Richard Justice: Loss can't overshadow Tigers' fantastic season | MLB.com: News (2012/10/29)

ワールドシリーズ第4戦の前、アメリカのラジオは既にサンフランシスコ・ジャイアンツが優勝を決めたかのような雰囲気のもと、なぜジャイアンツがこれほどまでにシリーズで圧倒しているのかを話していました。その答えは、各選手がそれぞれの役割をきっちり果たしているからだ、ということでした。

そのことは第4戦でもくっくりと現れました。確かにデトロイト・タイガースのミゲル・カブレラがこの試合においてやっと期待されていた活躍、3回裏に逆転の2ランホームランを放ち、その役割を果たすことができました。しかし、このワールドシリーズで初めての、そして結果的に最後のリードを奪いながらも、タイガースはそれを広げることができませんでした。5回裏、ランナーを出しながらも、ケガによりアレックス・アヴィラの代わりに出場したジェラルド・レアードは、犠牲バントを決めることができませんでした。見た目にもぎこちなさが目立ったレアードの犠牲バント失敗は、この試合の、そしてシリーズそのものの流れを決めるものになりました。

一方、この試合においてジャイアンツでもシーズンMVP候補のバスター・ポージーが6回表、ちょうど上記のバント失敗の後に、同点となる2ランホームランをレフトへ放ち、期待されている役割を果たしました。そしてジャイアンツにはこれに加えてもうひとつ試合を決める、そしてワールドチャンピオンを決めるプレイができました。それは10回表のブランドン・クロフォードの犠牲バントでした。犠牲バントは、ジャイアンツの三塁コーチ、ティム・フラナリーが選手たちに週3回練習させるほどに重要視していたものでした。それも日本野球のように試合で多用するためではなく、犠牲バントが必要な時に決められるようにするために練習をさせていました。長打力のない(そしてホームランが出にくい地元スタジアムの特性上)ジャイアンツには、フラナリーは自らのチームの攻撃を”slingshots and rocks”が必要だったのです。この試合においては、クロフォードがそれを証明しました。

この日のジャイアンツは、このワールドシリーズにおいて、そしてポストシーズンを通じて行ってきたことを忠実にやってきたその集大成でした。結果的にはワールドシリーズのMVPは第1戦で3打席連続ホームランを放ったパブロ・サンドバルに渡りました。もちろん、3番を任せられているサンドバルは長打を打ち得点をすることを期待されているのだから、その働きはMVPに値するものでした。しかし、それ以外の選手の働きも全てが重要でした。

例えば、何度も名前が出るグレゴール・ブランコは守備で失点を防ぎ、絶妙なバントで試合の流れを導きました。レギュラーシーズン中不調だったティム・リンスカムはポストシーズン中には長めのイニングを任せられるリリーフとして、相手打線を抑えました。2年前のワールドシリーズではロースターから漏れたバリー・ジトは、絶対に負けられない試合で好投し、ジャイアンツのポストシーズン中の命を救いました。そして、マルコ・スクータロはカーディナルスのマット・ホリデーのスライディングで負ったケガにもめげず試合に出続け、打撃で勝利に導き、チームに士気を与えました。こうした個々の働きによって、ジャイアンツは「全員での勝利」(shared triumph)を果たしました。

こうしたことの裏返しとして、タイガースはワールドシリーズにおいて1勝もできず今シーズンを終えました。先発投手はそれなりの働きをしました。ただしエースのジャスティン・バーランダーは準備十分の中初戦に先発しながらも、サンドバルの2連発の前に崩れ、シリーズの流れをジャイアンツに与えました。カブレラとプリンス・フィルダーは完全マークの中で、ほぼ何もできない状態でしたが、打撃陣の中から彼らに変わる選手、あるいは彼らにお膳立てができる選手がいなかったのも痛かったのです(第4戦のバント失敗や、第3戦での押せ押せムードの中での併殺打など)。

しかし、ワールドシリーズで.159という43年ぶりの最低打率を打ち出した、4試合で8得点しか挙げられなかった等という理由だけで、タイガースが今シーズン悪いチームだったわけではありません。結果論としては、たまたまこのシリーズにおいて悪い部分が出てしまったということなのでしょう。むしろ、6月にはタイガースは借金生活をしていましたが、そこからじっくりと勝ち星を重ねて、ディビジョン優勝、ワールドシリーズ進出を果たしたことは見逃してはいけないことです。

ジャイアンツのブルース・ボーチー監督は、ロサンゼルス・ドジャーズとの厳しいナショナルリーグのウェストディビジョンの優勝争いを勝ち抜き、ジャイアンツを2度ワールドシリーズ優勝に導いました。そのことは大いに評価されるべきことです。ボーチーは殿堂入りを果たすだろうという声も上がっています(ボーチーはもはやそのことにも異論を挟むことを許さない実績を備えました)。同時に、チームの厳しい状態から監督に就任後2度目のワールドシリーズへ導いた、大ベテランのジム・リーランドもまた一定の評価を与えられてもいいことなのです。その結果として、リーランド監督は来シーズンも指揮を執ることが決まりました。

それでも、勝負の世界では勝者しかその存在感を将来に向けて放つことはできません。三冠王やオフシーズンのFA移籍はワールドチャンピオンへの近道でもなく、むしろそうしたことがあったゆえに、相手は厳しい勝負を突きつけたのでしょう。タイガースはレギュラーシーズンの特に中盤以降、そしてアメリカンリーグのチャンピオンシップでは素晴らしかったです。でもワールドシリーズではその素晴らしさは消えました。リーランドは試合後の記者会見でここまでの道のりをこのように語っています。

If somebody told me in Spring Training that we would be in the World Series, I would have had to say I’ll take that.

It was kind of a weird way that we got there, because we were a little inconsistent all year. Then we played pretty good when we had to to get the division, and we obviously played pretty good through the first two rounds of the playoffs. We got to the World Series, and we just sputtered offensively.

But like I said, if somebody would have told me in February that ‘You’re going to go to the World Series this year,’ I would have had to say, ‘Well, that’s a pretty successful season.

[ナショナルリーグ・チャンピオンシップ第5戦]Thank you Barry much!


Zito leads the way as Giants stay alive in NLCS – MLB.com (2012/10/20)
Zito redeems himself, saves Giants – SFGate (2012/10/20)
Little things add up to Giants’ biggest inning of Game 5 of the NLCS | MLB.com: News

敵地での先発し合いを前にして、サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ジトは、セントルイスで投げることについてこのように語っていました。


セントルイス・カーディナルスに王手を許したジャイアンツは、現時点ではリーグチャンピオンシップで最も重要かつ負けられない試合に、ジトをマウンドへ送りました。2006年のオフ、サンフランシスコの隣にあるオークランド・アスレチックスから高額な契約金と共にサンフランシスコへやってきたジトは、その金額に似合わない結果を残し続けました。ジトは2010年のポストシーズンには、ワールドシリーズのメンバーにすら入れず、2011年にはマイナー生活も経験しました。ジトの背番号75は日に日に小さくなっていきました。

2012年のジトはシーズン中に15勝8敗の成績を上げ、かつてほどではないにしろ、信頼を取り戻すには十分な数字を残すことができました。そしてこの絶対に負けられない試合でジトはかつての輝きを取り戻しました。ジトは8回2/3までカーディナルス打線を抑えこみ、赤い服を着た、メジャーリーグの中でも屈指の熱心さを有する4万人以上のファンを黙らせました。カーディナルスの選手たちはスタジアムで直接の応援をもらう一方、ジトはツイッター上で”#RallyZITO “というハッシュタグの応援を受けました。ジトはこれにも十分助けられたらしく、試合後このように語っています。

I’m excited fans are fired up and they’re going to bring all that momentum into our stadium.

この日のジトは、当然ながらマウンド上では完璧なほどの働きをしました。それがジャイアンツの守備陣にも好影響を与えられ、ジトはそれらにも助けられました。5回裏に出た、ライトのハンター・ペンスのスライディング・キャッチはその中でも象徴的なものでした。ブッシュ・スタジアムの芝生をえぐるほどに芝生を抉りながらも、ペンスがボールに飛びついた瞬間、スタジアムは静まる他ありませんでした。打撃面では不調が続くペンスは、このシリーズの試合前に、円陣の中心でペップトークをして選手たちを鼓舞していますが、この試合では自らの十八番である全力プレイで、ジトとジャイアンツを鼓舞しました。

また、ジトはマウンドだけでは物足らず、打席でもチームへ貢献しました。ジトは最初の2打席で見事なバントを見せました。最初の犠牲バントは、結果的には得点には繋がりませんでしたが、緊迫したシリーズでのバントのお手本と呼べるものでした。一方、4回裏2アウトで見せた三塁線へのプッシュバントは、カーディナルスの三塁手、デイビッド・フリースが慌てて1塁へ高い珠を投げ込むほど、誰もが驚くくらい素晴らしいものでした。ジトは、カーディナルス先発のランス・リンから多くの点を奪えないと踏み、かつここはバントをすべき状況だと判断して、あのようなプレイを出しました。これにより、リンは降板させられたのだから、ジトはリンに投げ勝っただけでなく、読み勝ちまでもしました。

I knew I didn’t have much of a chance hitting off Lynn. But I saw a situation where I could possibly get one down and get another run in, so I tried it.

多額の契約金でジャイアンツに移籍後、多くの批判や、もうジトの時代は終わったという声にも拘わらず、ジトはそれに声を荒げることもなく、熱心に練習をし、自分の機会を待ちました。2010年のポストシーズンにブルース・ボーチー監督がジトにロースターから外れるよう言い渡した時も、ジトはいつでも投げられるようにブルペンでの練習を怠らなかったといいます。それから実際にポストシーズンで必要とされるまで2年かかりましたが、ジトはその役割を十二分に果たしました。

一方、ナショナルリーグのチャンピオンシップは、カーディナルス3勝2敗の状態でサンフランシスコに戻ります。カーディナルスのフリースは、”San Francisco is a great city, but I wish we weren’t going back.”と語っていますが、フリースの意思に拘わらず、カーディナルスはサンフランシスコへ戻ることになります。そんなこのシリーズを観ていると、ひとつのプレイで試合の流れを左右することはあっても、それがシリーズの流れを決めるほどにはなっていないように感じます。

例えば、ジャイアンツがこのポストシーズンで初めて地元で勝利を収めた第2戦では、初回に、カーディナルスのマット・ホリデーが、ジャイアンツのショート、マルコ・スクータロが倒れこむほどの二塁へのスライディングをしたことが、ジャイアンツの士気を高めました。第3戦では、膝の怪我で途中欠場したカルロス・ベルトランの後を受けたマット・カーペンターのソロホームランにより、カーディナルスが流れを掴みました。

そして第5戦では、4回裏に出たカーディナルスのわずかな守備の乱れがジャイアンツへ試合の主導権を渡すきっかけになりましt。1アウト1・2塁の場面で、ペンスの放った当たりは、ピッチャーのリンの前へのゴロでした。そこでリンは一塁ではなく二塁でランナーを刺そうとしますが、ショートのピート・コズマのベースカバーが遅れました。投げる相手が存在しないような中でリンが投げたボールは、二塁ベースに当たり、センターへ転がっていきました。記録上はリンの送球エラーとなり、この後ヒットとジトのバントヒットにより降板するきっかけになりましたが、一方のコズマも”I was late covering the bag.”と自らの非を認める結果になりました。

どちらのチームも、ポストシーズンここまで粘りで勝ちあがりました。だからこそシリーズ全体の流れというものは生まれにくく、同時に1試合の中でのわずかなプレイや選手起用が、試合全体の流れを決めるものになっているように感じます。カーディナルスはワシントン・ナショナルズとのシリーズ最終戦の9回表、2アウトから逆転をしました。ジャイアンツはシンシナティ・レッズとのシリーズで、地元で2連敗後、敵地で3連勝しました。その経験から、カーディナルスはあと1勝というものの重要性をわかっているだろうし、ジャイアンツは、自分たちならあと2勝できるという前向きな気持ちを備えています。

サンフランシスコでの第6戦は、ジャイアンツが地元で粘りを見せるのか、それともカーディナルスがその粘りを振り切ることができるのか、というところでしょう。ここまで勝っても負けても先発陣の調子が良くないカーディナルスは、前回の登板で4回しか保たなかった先発のクリス・カーペンターが第6戦で本来の投球を行い、これ以上の無駄がない形でデトロイト・タイガースを迎え撃ちたいと考えることでしょう。一方、ジャイアンツは不調なバスター・ポージーとペンスの復活が必須です。そして、先発が予想されるライアン・ボーグルソンはファンの応援とチキンエンチラーダの力を借りて、負けられない試合に挑みます。

[MLB短評]Collision heard around the world

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Posey hurts ankle in home-plate collision (MLB.com)
Posey incident stirs collision debate (SI.com)
Posey-Cousins collision part of baseball (MLB.com)
La Russa would like to discuss rule change to protect catchers, runners (STLtoday.com)

接触プレイの少ないスポーツ、野球において、本塁上に突っ込んでくるランナーと、内外野から返球されるボールを待ち構え、ホームプレートを死守するキャッチャーとの一瞬の攻防は、最もスリリングなシーンです。しかし、マーリンズのスコット・カズンズとジャイアンツのバスター・ポージーとの衝突は、興奮よりも痛々しさと悲しみすら呼び起こしました。

サンフランシスコで25日に行われた試合で、12回表6-6の同点の場面で、サードランナーだったカズンズはライトへの浅いフライを見て、本塁へ無我夢中で走ってきます。一方、今やメジャーリーグを代表する捕手で、次世代のスーパースターとして走り出しているポージーは外野からのボールを待ち構えます。ポージーは左側からランナーが突進する様子を肌で感じていました。そしてランナーが来るよりはるか先にボールは本塁へ来ましたが、ポージーはそれを捕り逃しました。そうわかるのはリプレイを何度も見ているからであり、一瞬でボールの行方まで判断できないカズンズは、ポージーへ思いっきり体当たりをし、ホームプレートをこじ開けます。ジャイアンツは失点をしました。そして同時に大きな衝撃を受けたポージーをも少なくとも今シーズンいっぱい失うことになります。さすがのカズンズも倒れこみうごめくポージーを心配し、声を掛ける姿もまた印象的でした。

文字通りホームベースを死守しようとしたポージーの怪我は「世界に響き渡る衝突」となり、すぐさま捕手を突進するランナーから守るためにルール改訂をすべきではないかという議論が巻き起こりました。元捕手のエンジェルズ監督、マイク・ソーシアは野球界には過度の衝突をしないようにするという不文律があるのだとしていますが、果たしてそれを明文化するべきなのか、ということです。ジャイアンツの監督で捕手出身のブルース・ボーチーやカーディナルスのトニー・ラルーサ監督などはこの意見に賛同する一方、解説者のカート・シリングは「運が悪かったとしか言えない」とし、ルール改訂には否定的です。どちらかというと、現場の人たちはルール改訂に賛成、放送ブースや記者席の人たちは反対とまではいかなくとも消極的という印象を受けます。中には、元捕手のティム・マッカーバーのように改訂をすべしと唱える解説者もいるのも事実ですが。

結論はどうなるかは何ともいえませんが、今回のような議論が産まれた背景は二つあると考えます。ひとつは今回の事故がバスター・ポージーという選手の怪我で沸き起こったこと。ちょうど1年前ジャイアンツの新人捕手として登場して以降、ポージーはジャイアンツの攻守の空気を変え、ワールドシリーズ優勝へ大きく貢献し、自らも新人王を獲得しました。今年も2年目のジンクスをはね除ける数字を出し、これからの10年はポージーの時代となりかけていたところに、今回の長期離脱です。別にポージー以外の捕手が怪我をしてもこうした議論が起こらなかったとは言いませんが、現在のメジャーリーグで最も象徴的な若手スター選手が絡んだことは、その後の議論の大きさを象徴しているように思います。

もうひとつは、現在のメジャースポーツ全体に言えることですが、選手の体調をいかにして守り、そして結果としてスポーツビジネスとしてのリーグを盛り上げるか、という点です。特にNFLが脳震盪に対して厳しい方針を適用し、同時に脳震盪とスポーツの関わりがスポーツ界を越え議会レベルにまで発展する今とあっては、アメリカのスポーツ全体が安全確保の流れに走っており、それは止められません。激しい接触プレイが売りでもあったNFLやNHLでも、最近は選手のタックルに対して厳しい反則が加えられるようになりました。中には故意ではないそうしたタックルに対してまで守備側が不利になるルール変更に反対する声もありますが、スター選手を怪我から守り、その選手目当てでスタジアムに来るファンを増やし、あるいはテレビ放映権を確保するためにも、ルール改訂は必要だという意見も根強いです。一昔前のコンクリートのような人工芝での全力プレイを強いられていた時代とは変わってきています。

どのスポーツでもアメリカでは強くて男らしいプレイが好まれ、その中でホームベース上のランナーと捕手のぶつかり合いは非常にドラマチックであるのは事実です。しかし誰もスター選手が生まれ、育っていくドラマの突然のエンディングを見たくないのもまた事実です。今回のカズンズとポージーの一件はひとりの選手の離脱以上の意味を持っているようです。

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