Goldschmidt’s big night for D’backs in Miami highlights Marlins’ own lack of homers

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[MLB短評]選手との対話

Toronto Blue Jays’ Jose Reyes blasts Jeffrey Loria of Miami Marlins for trading him – ESPN (2013/2/15)
Blue Jays shortstop Jose Reyes bitter about situation with Miami Marlins’ front office | bluejays.com: News (2013/2/15)
Mike Bauman: Jose Reyes’ gusto resonates with Blue Jays | bluejays.com: News (2013/2/15)
Attention Marlins: This is how you treat players – Yardbarker (2013/2/15)

メジャーリーグは選手の移籍に関しては非常にビジネスライクであるとよく言われます。選手も、自分がどこかのチームへトレードされることは覚悟の上です。それでも、ビジネスは人と人がいて成り立つものである以上、相手方の心を読めないビジネスは相手を不快にさせるだけです。今回ホセ・レイエスが受けた「仕打ち」は正しくそれに当たると言えるでしょう。

一昨年のオフ、フロリダ・マーリンズから名前を変え、新築のスタジアムを完成させたマイアミ・マーリンズは、優勝できるチームを完成させるため、次々と大物選手を獲得しました。この点はフロリダ・マーリンズから引き継いだ「伝統」と言えます。その中での目玉のひとりが、メッツのショートでトップバッターのレイエスでした。マーリンズは6年契約でレイエス獲得後、それまでのショートの先発だったハンリー・ラミレスにサードで守ってもらうよう説得し続けました。そこまでしてでも、マーリンズはレイエスが欲しかったわけです。

しかし、チームは序盤から機能不全を来たし、優勝どころか5割すら狙えることなくシーズンが終了することが夏ごろに明らかになります。そうなると、マーリンズのもう一つの伝統である、大物選手の放出が始まります。ラミレスはシーズン中にドジャーズへトレードされます。その動きはシーズンが終わると共に一気に加速しました。その象徴がトロント・ブルージェイズと交わした大規模なトレードでした。

この12月に行われたトレードの直前、レイエスはマーリンズのオーナー、ジェフリー・ローリア氏と会食をし、オーナーはレイエスに対して「フロリダに家を買ったらどうか?」と持ちかけたと、ブルージェイズとしての初日のキャンプを迎えたレイエスが告白しました。家を買う、つまりそれはこの地で働いて欲しいという意味でもあります。その数日後、マーリンズはあっさりとレイエスを含むマーリンズの大物選手を放出しました。

That was kind of crazy. I mean, how can you want me to spend some money in Miami, when I have my house in New York, and you’re going to trade me in two days?

マイアミで6年間プレイするつもりで南の地へ来たレイエスとエージェントは、この会食の前からも常にオーナーからトレードをしない、住むのにいいところを確保してやって欲しいと言われていただけに、このトレードはショックでかつ未だに信じられないという思いが今でも強いのです。

I was shocked, because Jeffrey Loria, he always told me he’s never going to trade me. He always called my agent and said, ‘Tell Jose to get a good place here to live,’ and stuff like that.

そして、レイエスはもし今後フリーエージェント権を獲得し、マーリンズから声が掛かるであろう選手に対して、このような助言を行っています。

I don’t need to say anything. They see what happened. I signed there for like six years. I played there one year. So I don’t have to explain anything

ちょうどこのニュースが出た際、FOX SportsのKen Rosenthal氏がこのような話を紹介しています。キャンプイン直前、クリーブランド・インディアンズが俊足の外野手でこのオフ最後の大物、マイケル・ボーンを獲得しました。これと並行して、何人かの選手はトレード要員として出されるという噂が流れました。その際に、クリス・アントネッティGMとテリー・フランコーナ監督はそれらの選手に対して、直に会ってチームに残ってもらうことを伝えました。そのときのことを、センターのドリュー・スタッブスはこのように語っています。

As soon it came out, Chris called me. He said, ‘I hope you haven’t heard it elsewhere. I wanted to be the first to tell you what our plans are. We had an opportunity to make our team better. We’re not trying to move you to another team.’

It cleared the air right off the bat. They wanted to take all of the ambiguity out of it, make sure I was comfortable with everything.

このとき、元来センターのスタッブスはボーンの加入により一度も守ったことがないライトの守備を言い渡されるも、それも受け入れています。それが外野の守備向上になるとの考えです。この点は、選手の性格に依るところも大きいけれど、レイエス加入後のラミレスに対するマーリンズの動きとも何だか対照的です。

そうは言っても、これらの選手もいずれは放出もしくは契約解除ということはありえます。それは仕方ないことだとしても、目の前に現れた不安に対して、それを今現在できる範囲で除去する働きをすることも、GMにとっては重要なことだと言えます。アントネッティGMはこのように語っています。

It’s just being honest. Guys like to have some idea of where they stand. For us, while we may not be able to deliver the best news, we always try to be honest and communicate the best we can.

マーリンズのオーナー、ローリア氏は一部ではジェリー・ジョーンズ氏やスタインブレナー一家以上に忌み嫌われるオーナーと考えられています。ローリア氏は画商として財をなしました。すべての画商が彼のような人だとはいいませんが、ローリア氏にとって、絵画も選手も同じような感覚で、「物」を「売買」しているのではないかと感じてしまいます。そうだからこそ、マーリンズは人が強いチームを作るのではなく、勝利を買うことしかできないチームに成り下がっているのかもしれません。

[MLB短評]大型契約論

Reports: Toronto gets JJ, Reyes in huge deal with Miami | MLB.com: News (2012/11/13)
TSources: Marlins, Jays make epic deal – MLB News | FOX Sports on MSN (2012/11/13)
Angels, Marlins latest winter winners to not succeed in summer – Joe Sheehan – SI.com (2012/11/8)

昨年のオフシーズン、チーム名もロゴもスタジアムも一新させたマイアミ・マーリンズは、間違いなく2012年のワールドチャンピオン候補でした。マーリンズは監督にオジー・ギーエンを据え、クローザーのヒース・ベルと捕り、金銭面で苦悩を続けていたニューヨーク・メッツからホセ・レイエスを捕り、シカゴ・ホワイトソックスからかつてギーエンの元で投げていたマーク・バーリーを獲得しました。一時期には、マーリンズはアルバート・プホルスも獲得するのではないかとも言われました。陽気な街マイアミらしい、そして過去の短いの歴史をなぞるかのようなマーリンズというチームらしい、その派手な動きは、新しいマーリンズの到来を予想させました。

しかし、今思えば、2012年シーズンのマーリンズの低迷は開幕戦にありました。マーリンズは自慢の打線と思われていたにも関わらず、6回までノーヒットに抑えられました。開幕投手のジョシュ・ジョンソンはセントルイス・カーディナルス相手に苦戦をしました。派手なスタジアムには似合わないくらいの負けっぷりは、4月の段階で今年のマーリンズを予期し、そして象徴していました。その後、ギーエンがアメリカでは絶対に口にしてはいけないこと、フィデル・カストロを礼賛する(と受け取れる)発言をし、マーリンズはチーム成績とは関係ないところで注目を浴びました。

大きく勝ち越した5月以外、マーリンズは結局優勝争いに絡むことすらできず、チームはこれまた過去の歴史にあるような選手の大放出を始めました。マーリンズは投手のアニバル・サンチェスをタイガースへ出し、今シーズン開幕時にはサードだったハンリー・ラミレスをロサンゼルス・ドジャーズに出しました。そしてシーズンが終わると共に、ベルはアリゾナ・ダイアモンドバックスへ旅立ちました。ギーエンはシーズン終了後、スペイン旅行へ向かっていましたが、そのときに電話で解任を言い渡されました。

そして2012年のオフシーズン、マーリンズはまたもやストーブリーグの主役に躍り出ました。ただし今回は獲得する側ではなく放出する側です。それも、ジョンソン、レイエス、バーリーとユーティリティーのエミリオ・ボニファシオと捕手のジョン・バックをメジャーリーグ最南端の本拠地から、最北端にあるトロント・ブルージェイズへトレードに出しました。マーリンズはショートのユニル・エスコバルや捕手のひとり、マイナーの選手などを獲得します。このブログを書いている時点ではまだ「非公式」ですが、既に両チームの主砲からは相対する反応が示されているのが面白いです。


それにしても、この1年間のマーリンズの動きを見て誰もが思うこと、結局マーリンズは何がしたかったのでしょう?もちろん、チーム名、スタジアムを新しくして、マーリンズとしてはこれまでとは違うことを示したかったのは理解できます。しかし、それは単なるマーリンズお得意の大物捕りで終わってしまい、チームの補強には繋がりませんでした。それに、マーリンズはもともとラミレスという強打者のショートを抱えてましたが、そこにレイエスを入れることで、ラミレスにサードへコンバートしてもらえないか必死に説得しました。最終的にラミレスはそれを受けましたが、同時にそのチームの努力は無駄に終わりました。つまり、大型契約がチーム強化にはならなかったのです。

昨シーズンのオフ、マーリンズと同じようにロサンゼルス・エンゼルスもプホルズと長期契約を結び、続いて先発左腕のCJ・ウィルソンを獲得しましたが、結局プレイオフ進出を逃しました。シーズン途中には、ドジャーズがラミレス獲得に続いて、ボストン・レッドソックスから一気に4人の主力選手を獲得し、世間をアッと言わせました。しかし、ドジャーズもプレイオフを逃しました。

その一方で、今シーズンのプレイオフには、元来低予算で有名なオークランド・アスレチックスや、若いころから育ててきた選手が成長したボルティモア・オリオールズが進出しました。もちろんこうしたチームもオフシーズンには補強を行っていますが(オリオールズはこのオフにジョシュ・ハミルトンを獲得するかもという声も聞かれています)、必ずしもそれらは目立つものではなく、オフシーズンの勝者とは程遠いものでした。それでも、両チームともシーズン中とプレイオフでは素晴らしい戦いをし、ボブ・メルビンとバック・ショーウォルターの両監督は、アメリカンリーグの最優秀監督候補になりました。そして、メルビンが最優秀監督に選ばれた同じ日に、このようなブロックバスターが発表されるというのは、皮肉な感じもします。

だからといって、オフシーズンの大型契約をチーム作りの柱とすることは、これからもどのチームも行うだろうし、否定するものではありません。現に、デトロイト・タイガースは昨シーズンのオフの目玉のひとりだったプリンス・フィルダーを獲得し、それがミゲル・カブレラの三冠王(とMVP?)にも繋がる活躍をもたらし、ワールドシリーズ進出という結果を残しました(ワールドシリーズ敗退はここでは忘れて・・・)。

大型契約をすることは、チームがそれだけ勝ちに向かっているのだということを内部に、そして外部にアピールすることにあると思います。ブルージェイズが所属するアメリカンリーグのイーストには、どうしても倒さなければならない巨人が構えており、ドーム球場、ロジャーズセンターはいつも青い座席が目立つ状態です。その中でブルージェイズは何をしなければならないのかと考えた場合、今回のような大型契約も悪くないと思います。ブルージェイズのアレックス・アンソポロスGMは、先週、親友に「実現不可能な(pie-in-the-sky)トレードに向けて仕事をしている」と話していたそうですが、今やそれが実現しそうになるところです。一部からは早くも2013年の最優秀GMの筆頭候補になったとすら言われています。


ブルージェイズは間違いなく今年のオフシーズンの勝者でしょう。しかし、問題は獲得した選手がどれだけ活躍するか、だけではなく、このトレードとは関係なかった選手がどれだけ活躍するかにあるのかもしれません。それを端的に表しているのが、今年のタイガースのカブレラでした。ジョン・シーハン氏は、2008年オフにCC・サバシア、マーク・タシェアラ、AJ・バーネットを大金で獲得したヤンキーズが、翌年に既存の選手たちの活躍もあってワールドシリーズ優勝をした例を挙げています。

Even those ’09 Yankees, though, had as much improvement from within as from without. Jorge Posada bounced back from an injury-plagued season to have one of his best years. Robinson Cano improved in every aspect of his game, as did Melky Cabrera at a lower level of performance. Brett Gardner emerged as a contributor. Philip Hughes and David Robertson and Alfredo Aceves threw important innings out of the bullpen. It’s not that Sabathia, Teixeira and Burnett weren’t critical — they all had strong seasons — it’s that just signing free agents or making big trades is never enough.

残念ながらマーリンズは大型契約により世間からの注目を浴びることに終始し、エンジェルズは肝心のプホルズが序盤不調になり、ドジャーズは欠けてしまった戦力をあまりにも大きすぎる大型契約で行おうとし、いずれも失敗に終わりました。

ブルージェイズは実現不可能なトレードを決めた以上、来シーズンにはプレイオフ進出を必ず実現しなければならないし、そうしたプレッシャーを感じ始めることでしょう。あるいは、ブルージェイズは今年のマーリンズと同じ系譜にカテゴリーされてしまうのでしょうか。

[MLB短評]That’s a emotional question bro.

No clowning around: Harper, Nats stop slide | MLB.com (2012/8/29)
Harper’s emotions lead to first career ejection | MLB.com: News (2012/8/30)
Hayhurst: Harper’s ego could be problematic – sportsnet.ca (2012/8/30)

一時期のプロ入り初のスランプを経て、ワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパーはまた調子を取り戻しつつあります。それを証明したのが現地8月29日の対マーリンズ戦での、自身初の1試合2ホームランでした。これにより、ハーパーはプリ入り後10代でのホームラン数において、ミッキー・マントルを追い抜きました。さらに現地30日の対カーディナルス戦でも第一打席にホームランを放っているので、現時点では15本です。

しかし、この日ハーパーはもうひとつプロ入り初の出来事を、試合終盤に体験しました。9回表、無死ランナー1塁で打席にたったハーパーは、1塁へゴロを放ちました。マーリンズのファースト、カルロス・リーは二塁へ送球してまず1アウト、その後ボールが1塁へ戻ってきたとき、ハーパーは「アウトはひとつだけだ」と思ったにもかかわらず、塁審のCB.バックナーはアウトのコール。その瞬間、一塁を駆け抜けたハーパーはヘルメットを地面に投げつけました。その場所はちょうどバックナーの目の前でした。そして即時にハーパーはバックナーにより退場を言い渡されました。

正直なところ、これで退場なのかという意見はあって当然です。あのような場面でヘルメットを投げつけることはよくあることだし、特に、三振に苛立ちバットをへし折ったことがあるくらい感情をあらわにするハーパーであれば、くやしさのあまりやりかねない行動です(ちなみにハーパーがバットをへし折ったときには退場にはならなかった)。

一方で、この退場劇はまだ19歳のハーパーの精神面での成長を危惧する声が高まりつつあることを改めてしらしめることになりました。もともとハーパーは、最近のいろんなスポーツの若い選手同様に、謙虚さよりも自己顕示欲が高い選手です。そこから生み出されるエゴが最終的にハーパー自身を苦しめるのではないかというのです。

ナショナルズのデービー・ジョンソン監督は、ハーパーがアウトになり退場を言い渡されたとき、バックナーの元へ抗議をしに行きました。試合はその時点でナショナルズ勝利がほぼ決まりかけており、あの併殺で試合が左右される展開ではありませんでした。それでも監督して納得のいかないコールだったのは確かです。同時に、ハーパーの行動もまた監督としては納得いかないものでした。試合後、監督はハーパーと直に話をしました。ジョンソンはそのときのことをこのように話しています。

It was done, and he’s wrong in doing that. He’s wrong in breaking his bats. He’s wrong in throwing his helmet down in frustration. It’s just, like I say, [he’s a] 100 percenter. He’s full bore. When he doesn’t like the outcome, he shows it off that way. It’s just a learning experience. He’ll be fine. I’m not worried about him

ハーパーはまだ経験から学んでいるところというのは、そのとおりでしょう。それだけハーパーはまだ未熟(immature)なのだと思いますし、そのことは監督やライアン・ジマーマンなど周囲の選手も理解しています。中には、ナショナルズが勝利を重ねているから、選手たちはハーパーのエゴを耐えることができているという意見もあるようですが、決してそういうことはないでしょう。むしろ、周囲はハーパーの行き過ぎた性格面が暴走しないようにしつつも、ハーパーのハードなプレイを理解しているのだと思います。

この試合は、ハーパーにとっては初めて1試合2ホームランを放ったことより、初めて退場を食らった試合として記憶されることでしょう。過去にも自分自身の性格が仇になり、素晴らしい実力を持ちながらもキャリアを棒に振ったスポーツ選手はこれまでにも何人も出ています。ハーパーは自分もその仲間入りしかねなかったところを19歳で気づかせてもらったことに、むしろ感謝すべきなのかも知れません。ハーパーは試合後このように語っています。

I just need to stop getting [ticked] off and just live with it, and there’s nothing you can change. I just need to grow up in that mentality a little bit. Try not to bash stuff in and things like that I’ve always done my whole life, and those need to change.

これまで周囲がいろいろと騒ぎ、自らも自身のすごさを顕示してきましたが、結局のところ、ハーパーはまだ成長途上の選手です。チームとハーパー自身が、体力面、技術面だけでなく精神面での成長をどれだけ図っていくことができるかが重要なように思います。

[MLB短評]夏の西高東低

Trade deadline underscores game’s westward power shift [SI.com]

先週末、ハンター•ペンスやシェーン•ビクトリーノはまだフィラデルフィア•フィリーズの一員としてプレイしていました。今月に入り、ふたりは西海岸のチームに移動し、かたやサンフランシスコ•ジャイアンツ、もう一方はロサンゼルス•ドジャーズの一員として、今シーズン、フィリーズでは成し遂げられないであろう目標に向けてプレイしています。

毎年7月の終わりが近づくころ、メジャーリーグの各チームのGMはトレード期限を控え眠れない日々が続きます。かつて、この期限で話題になるのは、決まって東海岸の人気と伝統のある2チームが誰を獲得するのか、でした。しかし今年のトレード期限が終わりわかったことは、あからさまと言えるほどの西高東低でした。

もちろん、その最中でも東海岸のヤンキーズは手薄な外野を厚くするためにイチローを獲得しましたが、今年に限るとヤンキーズはほぼ動かなかったに等しいです。それどころか、ヤンキーズ以外の東部のチームの多くは慣れない売り手に回らざるを得なくなりました。それは、レッドソックスがケビン•ユーキリスをトレードに出したのがすべての始まりだったのかもしれません。トレード期限が近づくと、メディアはレッドソックスはジョシュ•ベケットも出すのではないかとも噂しました。ペンスとビクトリーノを出したフィリーズは、ハメルズ、ハラデイ、リーなどを抱えメジャー最高とも言われた先発投手陣からも、何人かが出されるのではないかと一時噂されました(ハメルズとは長期契約を締結)。

そして新スタジアムを建設し、シーズンオフに大補強をして優勝候補に推す評論家もいた、マイアミ•マーリンズは、一転売り手になりました。ホセ•レイエスやヒース•ベルを獲得し、アルバート•プーホールズ獲得のために準備していたあの時期は一体なんだったのでしょう?ショートを守るレイエスのために、チームは高い能力と複雑な性格を誇るハンリー•ラミレスにショートからサードへのコンバートを説得し、何とか了承を得ました。でもそれから半年もしないで、チームはラミレスをあっさり放出しました。ひと頃の成績を産めず、心機一転、ラミレスにとってもそれがよかったのかもしれませんが、マーリンズの一連の動きは、かつてのフロリダ•マーリンズ時代の叩き売りを彷彿とさせるとまで言われたほどです。

その一方でトレード期限に積極的な獲得の動きをしたチームの多くが「西側」に位置しているのは興味深いです。ちょうど、トレード期限前後にドジャースとジャイアンツ、テキサス•レンジャーズとロサンゼルス•エンゼルズがそれぞれ対決をしていたのも、このトレード戦線を熱くしたとも言えます。

ドジャースがラミレスを獲得したら、ジャイアンツは負けじとペンスを獲り、ドジャースはビクトリーノを獲得する、一方でエンゼルズがザック•グレインキーという名の翼を得れば、レンジャーズはライアン•デンプスターを獲りに行くきました。かつて東海岸で行われたような選手獲得のチェスマッチが今やアメリカの西部で行われたのです。

ちなみに、もっと狭い地域内でも西高東低の動きは見られました。ペンシルバニア州では東にあるフィリーズがここのところ圧倒的に強く、西のピッツバーグにあるパイレーツは、どうしようもない成績を収め続けていました。しかし少なくとも今年はパイレーツの年です。フィリーズが誰を出すか悩む中、パイレーツは先発投手のワンディ•ロドリゲスを獲得しました。

21世紀の初めのメジャーリーグは、一部の例外を除き圧倒的に東海岸の時代でした。ワールドシリーズにはヤンキーズか、レッドソックス、レイズ、マーリンズやフィリーズなど、イーストディビジョンのチームが出場していました。特に東海岸のチームは大きな市場を抱え、豊かな資金力を活かしていました。

しかし選手の世代交代が進むと共に、まるでアメリカの発展の歴史をなぞるかのごとく、メジャーリーグの重心も西へ動きました。昨年、一昨年とワールドシリーズはミシシッピー川の西側で行われています(セントルイスのブッシュスタジアムは川のすぐ西側!)。その動きがこの夏のトレード戦線にもはっきりと反映されました。莫大なテレビ放映権料を活かしたレンジャーズやエンジェルズ、オーナーが代わり安定的な経営をできるようになったドジャースなど、チームの強さだけではない要素も、パワーシフトを助けているようです。

8月になり、ウェイバーを除いて、選手の移籍も一段落着いた格好です。ワールドシリーズへの戦いはフロントオフィスのチェスマッチから、選手と監督同士の総力戦に変わりました。10月になったとき、西高東低の天気図はまだ強いのか、それともヤンキーズや、トレード期限に比較的派手な動きをしなかったワシントン•ナショナルズやシンシナティ•レッズなどがそこに楔を打つのか。ワールドシリーズを狙うチームにとり、長いレギュラーシーズンの本当に長い時期が始まったところです。

[MLB短評]Collision heard around the world

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Posey hurts ankle in home-plate collision (MLB.com)
Posey incident stirs collision debate (SI.com)
Posey-Cousins collision part of baseball (MLB.com)
La Russa would like to discuss rule change to protect catchers, runners (STLtoday.com)

接触プレイの少ないスポーツ、野球において、本塁上に突っ込んでくるランナーと、内外野から返球されるボールを待ち構え、ホームプレートを死守するキャッチャーとの一瞬の攻防は、最もスリリングなシーンです。しかし、マーリンズのスコット・カズンズとジャイアンツのバスター・ポージーとの衝突は、興奮よりも痛々しさと悲しみすら呼び起こしました。

サンフランシスコで25日に行われた試合で、12回表6-6の同点の場面で、サードランナーだったカズンズはライトへの浅いフライを見て、本塁へ無我夢中で走ってきます。一方、今やメジャーリーグを代表する捕手で、次世代のスーパースターとして走り出しているポージーは外野からのボールを待ち構えます。ポージーは左側からランナーが突進する様子を肌で感じていました。そしてランナーが来るよりはるか先にボールは本塁へ来ましたが、ポージーはそれを捕り逃しました。そうわかるのはリプレイを何度も見ているからであり、一瞬でボールの行方まで判断できないカズンズは、ポージーへ思いっきり体当たりをし、ホームプレートをこじ開けます。ジャイアンツは失点をしました。そして同時に大きな衝撃を受けたポージーをも少なくとも今シーズンいっぱい失うことになります。さすがのカズンズも倒れこみうごめくポージーを心配し、声を掛ける姿もまた印象的でした。

文字通りホームベースを死守しようとしたポージーの怪我は「世界に響き渡る衝突」となり、すぐさま捕手を突進するランナーから守るためにルール改訂をすべきではないかという議論が巻き起こりました。元捕手のエンジェルズ監督、マイク・ソーシアは野球界には過度の衝突をしないようにするという不文律があるのだとしていますが、果たしてそれを明文化するべきなのか、ということです。ジャイアンツの監督で捕手出身のブルース・ボーチーやカーディナルスのトニー・ラルーサ監督などはこの意見に賛同する一方、解説者のカート・シリングは「運が悪かったとしか言えない」とし、ルール改訂には否定的です。どちらかというと、現場の人たちはルール改訂に賛成、放送ブースや記者席の人たちは反対とまではいかなくとも消極的という印象を受けます。中には、元捕手のティム・マッカーバーのように改訂をすべしと唱える解説者もいるのも事実ですが。

結論はどうなるかは何ともいえませんが、今回のような議論が産まれた背景は二つあると考えます。ひとつは今回の事故がバスター・ポージーという選手の怪我で沸き起こったこと。ちょうど1年前ジャイアンツの新人捕手として登場して以降、ポージーはジャイアンツの攻守の空気を変え、ワールドシリーズ優勝へ大きく貢献し、自らも新人王を獲得しました。今年も2年目のジンクスをはね除ける数字を出し、これからの10年はポージーの時代となりかけていたところに、今回の長期離脱です。別にポージー以外の捕手が怪我をしてもこうした議論が起こらなかったとは言いませんが、現在のメジャーリーグで最も象徴的な若手スター選手が絡んだことは、その後の議論の大きさを象徴しているように思います。

もうひとつは、現在のメジャースポーツ全体に言えることですが、選手の体調をいかにして守り、そして結果としてスポーツビジネスとしてのリーグを盛り上げるか、という点です。特にNFLが脳震盪に対して厳しい方針を適用し、同時に脳震盪とスポーツの関わりがスポーツ界を越え議会レベルにまで発展する今とあっては、アメリカのスポーツ全体が安全確保の流れに走っており、それは止められません。激しい接触プレイが売りでもあったNFLやNHLでも、最近は選手のタックルに対して厳しい反則が加えられるようになりました。中には故意ではないそうしたタックルに対してまで守備側が不利になるルール変更に反対する声もありますが、スター選手を怪我から守り、その選手目当てでスタジアムに来るファンを増やし、あるいはテレビ放映権を確保するためにも、ルール改訂は必要だという意見も根強いです。一昔前のコンクリートのような人工芝での全力プレイを強いられていた時代とは変わってきています。

どのスポーツでもアメリカでは強くて男らしいプレイが好まれ、その中でホームベース上のランナーと捕手のぶつかり合いは非常にドラマチックであるのは事実です。しかし誰もスター選手が生まれ、育っていくドラマの突然のエンディングを見たくないのもまた事実です。今回のカズンズとポージーの一件はひとりの選手の離脱以上の意味を持っているようです。

[MLB短評]Fireman Jeffrey

Marlins dismiss Gonzalez, tab Rodriguez(MLB.com)
Marlins fire manager Fredi Gonzalez; ‘What are you gunna do?,’ he says (Palm Beach Post)
Commentary: Owner’s unrealistic expectations doomed Marlins’ Fredi Gonzalez from the start (Palm Beach Post)

今、ワシントンではアメリカ軍のアフガニスタンでのテロ戦争を統括するスタンリー・マククリスタル将軍の進退問題が話題になっています。その理由は雑誌での上司批判。それが冗談半分だったかどうかはともかく、軍隊では絶対である上官への忠誠を将軍自ら破った格好です。今のところ、マククリスタルのクビは皮一枚繋がっている、そんなところでしょう。

しかし、ワシントンから少しだけ離れたボルティモアでは、マーリンズのフレディ・ゴンザレス監督とコーチ陣が突然解雇されました。ゴンザレスはオーナーのジェフリー・ローリアへの不満を心のどこかで抱えながらも、献身的に若くてまだ未熟な選手の多いマーリンズを3シーズン以上率いてきました。その結果が乏しい資金力と実力、そしていつでもオレンジ色の椅子が目立つフットボールスタジアムでの試合の中でも、71、84、87勝と3シーズンで確実に成長を見せるチームに育て上げました。

確かに今シーズンのマーリンズはここまで5割をわずかに切る成績であり、リリーフ陣はぱっとせず、守備はお粗末で、打線も長打がありながらも三振が多いと大味です。おまけにチームきっての大スター、ハンリー・ラミネスが先月、怠慢な守備を行ったとしてゴンザレスから先発を外されたとき、「監督はメジャーリーグでの経験がない!」となじられたりもしました。そして、先週末に同じフロリダ州のチーム、レイズを地元に迎えた「ブブゼラナイト」では、ゴンザレスは選手交代の手続き上の不備を犯し、打順とは違う選手が打席に立ちアウトになるという基礎的なミスも犯しました。

一方で、もともとブレーブスでコーチをしていたゴンザレスは、マーリンズと2011年までの契約を結んでいながらも、今年で勇退するボビー・コックスの後釜としてブレーブスの監督に就くのではないかとも言われていました。しかし、今回の解雇により、その現実味は一気に強まったと言うべきでしょう。

ところで、ゴンザレスの前任で現在のヤンキーズ監督であるジョー・ジラルディも、資金難から次々とスター選手を手放さざるを得なくなったマーリンズを何とか5割前後で戦えるチームにしながらも、初めて監督になった2006年シーズン終了後にあっさりと解雇されました。今回は、その流れに非常に似ているというべきです。34勝36敗というこれまでの成績はゴンザレスの采配に全ての責任をなすりつけるべきではなく、チーム全体の力がそれだけの成績を上げる程度の価値しかないからなのです。そして、そこまでチームの価値を下げている人物こそが、ジラルディとゴンザレスを解雇したローリアです。

プロスポーツチームのオーナーとして、チームの優勝、最悪でもプレイオフ進出を願うのは、何も不思議なことではありません。しかし、このオーナーは現実のチーム状況を無視した願いを監督に背負わせています。かつてマーリンズは2回ワールドシリーズで優勝しましたが、どちらも優勝を「勝ち取った」というより「買い取った」つまりスター選手を集めまくることにより、一瞬の夢を現実にしました。ただし、その後訪れたのは長くて辛い資金難という現実でした。

マーリンズは現時点では上昇気流に乗っていないかもしれなかったけど、長い視点では確実に好ましい回転をしていました。念願の野球専用スタジアムも2012年にはできあがます。ようやく地元での期待も高まる一方で、ナショナルリーグのイーストは王朝を築きつつあるフィリーズだけでなく、ストラスバーグ/ハーパーというドラフト1位を獲得して波に乗りかけるナショナルズまで、本当にタフさが増しつつあります。そうした「戦国時代」にあって、オーナーの気まぐれと、自作自演の監督-オーナー不仲説のでっち上げにより、監督を解雇し続けたところで、17年しかメジャーリーグでプレイしていないチームが本当に成長を図ることができるとは思えません。仮に臨時監督の後に、一時期名前が上がったボビー・バレンタインを招聘してもそれは同じでしょう。そして、オーナーはジラルディやゴンザレスと同じようにバレンタインを解雇するはずです。賢明なマーリンズのファンは、誰がクビになるべきかをわかっているのです。賢明ではないオーナーにはわからないことでしょうが。

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