Kaepernick Throwing Out First Pitch

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[短評]Connected line -第47回スーパーボウル(前半)-

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今日はスーパーサンデー、いや日本的に言えばスーパーマンデーということで、現地に行けない自分は自宅でスーパーボウルを観戦中です。

ここまで前半が終了して、ボルティモア・レイブンズが21-6でサンフランシスコ・49ersをリードしています。レイブンズはここまでQBのジョー・フラッコが冷静でかつ素晴らしいということが言えます。通常のパスだけでなく、投げ捨てたと思われるような状況でも、レシーバーを見つけ出しそこへパスをヒットさせています(同時にレシーバーもパスルートを作ってあげている)。

2013 Super Bowl- The best photos - CNN.com
しかしこのようなフラッコのパスやレイブンズ攻撃陣の好調さを生み出しているのは、レイブンズのオフェンスラインにあると言えます。彼らは49ersのディフェンス陣のラッシュをしっかり止め、フラッコにパスの時間をしっかり与えています。またレイ・ライスを始めとしたRB陣の走路をしっかりと作っています。それによりレイブンズの攻撃は様々な組み合わせを可能としています。地味な働きですか、その動きはフラッコのパス成績と同じくらいMVPクラスと言ってもいいでしょう。
2013 Super Bowl- The best photos - CNN.com(1)

そんなオフェンスラインチームも、49ersのディフェンスのラッシュを許す場面が有りました。先ほど出した、フラッコの投げ捨てたかのようなパス2本が成功し、その後フラッコがサックを浴びて終了したシリーズだけは49ersの守備陣が上回っていました。結果としてフラッコのパスが決まっただけです。でも重要なのは、その後の49ersの攻撃時間でサイドラインに下がった間に、オフェンスライン陣がしっかりと立て直してきた点ではないかと思います。それが49ersのファンブルから訪れた2ndクォーター最初のシリーズでの素晴らしいドライブからのTDに繋がったのではないでしょうか。

一方の49ersは、まず試合開始より緊張をしているのではないかと見えました。最初のプレイがいきなりイリーガルフォーメーションで反則となり、その後のレイブンズのオフェンスシリーズではオフサイドでヤードを許し、それが結果的にレイブンズの得点に繋がりました。

その中でも、49ersのオフェンスもその後のシリーズではリードブロッカーをうまく使ったランプレイがうまれて、コリン・キャパニックからヴァーノン・デービスへのパスも決まり、TDまであと一歩というところまでいっていました。49ersはレイブンズのレイ・ルイスを”abuse”、うまいように弄んで、スピード勝負で負かしています。そう、49ersはうまく行っているのですが、ファンブルとキャパニックのインターセプトがあまりにもあまりにも大きく響いており、自らの首を絞めています(リードされていたとはいえ、残り6:33からのオフェンスシリーズ、好調なレイブンズオフェンス相手にして、攻撃シリーズをいきなりパスで始める意図もどうだったのだろうと個人的には思いますが)。

前半終了時を見たところ、レイブンズの多彩な攻撃が試合を支配していると思います。

[NFL短評]Safety first?

Barack Obama is Not Pleased | New Republic (2013/1/27)President Obama unsure if he'd let son play football – NFL.com (2013/1/27)
Ravens’ Pollard: NFL really does stand for Not For Long – CBSSports.com (2013/1/25)
Jay Cutler of Chicago Bears fiancee Kristin Cavallari doesn’t want son to play football – ESPN Chicago (2013/1/28)
San Francisco 49ers respond to President Barack Obama’s concerns – NFL News | FOX Sports on MSN (2013/1/28)
NFL JAPAN.COM|話題のオバマ大統領の発言、Sリード「オバマを支持する」 (2013/1/30)

自分には戦後にアメリカのGIと結婚したおばがいます。確か自分が高校生の頃だったと思いますが、そのおばがその旦那と共に日本へ一時帰国しました。その頃、NFLにハマりだしていた自分は、そのおばに大学に入ったらフットボールをやりたいと話しました。高校にはアメリカンフットボール部はありませんでした。そうすると、おばは「あんな危険なスポーツはやめときなさい。ものすごい大怪我をして車椅子になった人だっているんだから」と猛反対しました。もちろんその当時、自分もそのような選手がいたことは知っていましたが、テレビで見ていて自分もやってみたいという願望は強かったのを覚えています。だた、おばの助言を守ったわけではないのですが、結局いろいろあって大学に入ってからフットボール部に入ることはなく、今に至っています。

そのおばとの会話の頃、NFLは今よりも安全性について考えているとは思えない環境でした。スポーツと脳震盪の因果関係の研究もそれほど進んでおらず、スタジアムの多くはまだ人工芝で、コンクリートの上に人工芝を敷いたようなスタジアムがあったほどです。今思えば、あのような環境下で選手たちはよくも恐れをなさずにプレイしていたと思います。

それから月日は経ち、スタジアムの多くは天然芝あるいは強い衝撃が出ない人工芝へ変わりました。防具の軽量化と安全性が高まりました。最初のうちには乗り気ではなかったNFLは、脳震盪の問題に対しての援助を行うようになりました。そしてリーグはハードヒットに対してのペナルティを積極的に課すことで、より安全なフットボールを打ち出そうとしています。

そのような中、オバマ大統領が雑誌”New Republic”と行ったインタビューにおいて行った発言が話題になっています。「ゲームが選手に与える影響を考えて、大統領はファンとしてフットボールを見ることにそれほそ楽しみを見出していないように感じますが」という記者の問いに対して、このように答えています。

I’m a big football fan, but I have to tell you if I had a son, I’d have to think long and hard before I let him play football. And I think that those of us who love the sport are going to have to wrestle with the fact that it will probably change gradually to try to reduce some of the violence. In some cases, that may make it a little bit less exciting, but it will be a whole lot better for the players, and those of us who are fans maybe won’t have to examine our consciences quite as much.

I tend to be more worried about college players than NFL players in the sense that the NFL players have a union, they’re grown men, they can make some of these decisions on their own, and most of them are well-compensated for the violence they do to their bodies. You read some of these stories about college players who undergo some of these same problems with concussions and so forth and then have nothing to fall back on. That’s something that I’d like to see the NCAA think about.

フットボールの大ファンであるという、ふたりの娘の父親である大統領は、もし息子がいたとしたら、フットボールをやらせる前にじっくりと考えさせる、というのです。それはフットボールの暴力的な面と、それが生み出す脳震盪のような結果を考えたゆえだというのが大統領の考えです。

このインタビューが出される少し前、ボルティモア・レイブンズのセーフティ、バーナード・ポラードがCBSスポーツとのインタビューの中で、「NFLはこのままでは30年後には今のような状態で存在し得ないかもしれない」と自らの意見を述べました。ポラードはリーグは選手の安全を考えた対策を講じて正しい方向へ向かう一方、コーチはその逆の道を歩んでいるとしています。

[Coaches] want bigger, stronger and faster year in and year out. And that means you’re going to keep getting big hits and concussions and blown-out knees. The only thing I’m waiting for … and, Lord, I hope it doesn’t happen … is a guy dying on the field. We’ve had everything else happen there except for a death. We understand what we signed up for, and it sucks

この発言が、2ヶ月前に「フィールド外へ走り出ることができないQBを仕留めていくつもりだ」と言った選手と同じ人物が行っているとは考えにくいのですが、ポラードは、コーチが大きさ、強さ、俊敏さを選手に求めるあまり、それが安全性向上に努めるリーグの動きと反していると考えています。そしてその中でポラードが待つべきことは、選手の誰かがフィールド上で死ぬことだとまで言っています。

ポラードの意見は、オバマ大統領の発言が出て以降さらに脚光を浴びることになりました。そしてポラードや大統領の意見のように呼応する動きがNFLの中から起こりました。シカゴ・ベアーズのQBジェイ・カトラーのフィアンセは、息子にはフットボールをやらせたくないと言い、ポラードのチームメイトであるエド・リードも、自分の息子に自分からフットボールをやるように勧めることはしないと話しています。

ポラードやリードは、フットボールのポジションの中でも特にスピードを生かしたハードヒットをすることを要求されるポジションに属します。その場合に双方の選手の体に受ける衝撃は高いものです。そうした選手からこれらの発言が出ることは興味深いと思います。ポラードがいうように、彼らはそれを生業とし、そうしたプレイをするためにチームと契約していますが、その一方で自らの経験から、こうした意見が出るのでしょう。

その一方で、レイブンズとスーパーボウルで対戦するサンフランシスコ・49ersの選手からは、「フットボールはフィジカルなゲームであるべきだ」という意見が多く出ました。確かにフットボールは危険なスポーツではあるけど、それによって自分の息子にそのゲームを諦めさせるほどのことはないという意見もあります。別にこれはレイブンズの選手に対抗した発言ではなく、多くの選手やコーチの中でも、自らの息子にフットボールを勧めるかどうかの意見は分かれているとされています。中には、ポラードやリードの上司にあたる、レイブンズのジョン・ハーボーヘッドコーチは、「(フットボールは)若者だけでなく私のような人物にも、人として成長するチャンスをくれる。フットボールのように挑戦しがいがあってタフでハードな競技は、他にない」と言い切っています。

正直なところ、結婚もしてない、ましてや子供がいない自分ですら、どちらの意見もすごくわかります。ただ、どちらにも言えるのは、子供にどのような成長を望むのかということです。かつてはハーボーHCのような、フットボールをプレイすることで得られるチャレンジ精神や、集団スポーツを通じて得られる規律、日本的に言えば「しつけ」を身につけて欲しい考えのほうが強かったのではないかと思います。フットボールはフィジカルなスポーツ、もっと端的に言えば「マッチョ」なスポーツであり、それがアメリカ的な側面を持っています。息子を持つアメリカの多くの親は、その息子に他のスポーツと共にフットボールをプレイさせることで、精神的な強さと規律を学んで欲しい、そう望んできましたし、今でもれを望む親は多いはずです。

しかし、フィジカルゆえに発生するフットボールの身体や、特に脳に与える危険性が科学の発達に伴い明らかになってきました。そこから大統領やリードのように自分の息子にはフットボールを勧めないという考えや、ポラードのようにNFLの将来を心配する声が出てきたように感じます。そのことは決して悪いことではありませんし、精神的と身体的な健康は両立してこそ成り立つものです。

何度も書くように、フットボールは他のスポーツと比べても数段もフィジカルなスポーツです。そうだからこそ得られるものがあるのか、そうだからこそ失ってしまうものがあるのか、この議論には勝者も敗者はないですし、必ずしも白黒つける問題ではありません。ただ、アメリカ国民のトップが、アメリカで最大のスポーツイベントの約1週間前に、このような問題提起を行ったことは、非常に興味深いことです。

[NFL短評]Beastmode Seahawks

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Seattle Seahawks keep it rolling with blowout of San Francisco 49ers – NFL.com (2012/12/23)
Seahawks and their QB are hotter than hot – NFC West Blog – ESPN (2012/12/24)
Sunday night wrap-up: Wilson showing his maturity | ProFootballTalk (2012/12/23)
Believe it, Hawks are best team in the NFL right now | Jerry Brewer | The Seattle Times (2012/12/23)

12月23日のサンデーナイトフットボールで、シアトル・シーホークスにとって唯一残念だったこと、それは3試合連続で50得点できなかったことでした。あと8点足りなかった・・・でも、アメリカの北西角の街から全米中にその強さを示すには全く問題のない試合でした。プレイオフ進出、地区優勝争いのために絶対負けられない試合で、シーホークスは完膚なきままにサンフランシスコ・49ersを印象的な形で打ち破りました。

この試合で印象的だったこと一つ目は、RBのマショーン・リンチでした。シーホークス最初のシリーズで、リンチはハンドオフを受けてからブロッカーを信じて左サイドから24ヤードを走りぬけ、最後はタックルを受けそうになりながらもTDを上げました。この試合を通じて、リンチは力強いランでシーホークスのオフェンスにいいリズムを与え続けました。その活躍を前にして、49ersのRBフランク・ゴアの影は試合を通じて薄いままでした。

二つ目はシーホークスのディフェンス陣。この日のスターターにはビッグネームと呼べるほどの選手は揃っていませんが、組織としてのシーホークスの守備陣は、その堅さで名前を売ってきた49ersの守備陣から主役の座を奪いました。とにかくシーホークスの守備陣はボールへの集まりが非常に早い印象を受けました。同時にセカンダリー陣は49ersのレシーバー陣を試合序盤からうまくカバーしていました。そのため、49ersの若きQBコリン・キャパニックはスクランブルをせざるを得ませんでした。それは明らかにデザインされたプレイではなく(キャパニックはランが得意ではあるけど)、仕方なく走った、その印象を受けるものでした。

その象徴がコーナーバックのリチャード・シャーマンでしょう。スペシャルチームでも出場したシャーマンは、デビッド・エイカーズのFGがブロックされた後、跳ね返されたボールを拾い上げ、90ヤードを独走してTDを上げました。それだけでなく、4thクォーター最初のプレイで、シャーマンはランディ・モスをしっかりマークし、エンドゾーンでインターセプトを決めました。スタンフォード大学出身のシャーマンは、在籍当時のスタンフォード大学ヘッドコーチで49ersのヘッドコーチを務めているジム・ハーボーの49回目の誕生日に、自らの活躍を示すことで、それを誕生日プレゼントとしました

また、シャーマンのリターンTDの前に、セーフティーのキャム・チャンセラーが49ersのTEバーノン・デービスに対してハードヒットをしました。審判はこれに対してパーソナルファールを宣言しました。恐らくはあのタックルはヘルメットによるヘルメットへのタックルとみなされたようですが、あれがなければ、デービスはTDを奪い、試合の流れはわからなくなっていたはずです(仮に反則でなくクリーンタックルだったとしても、次のプレイはあの位置から始まったので結果は同じ)。これにより、デービスは軽い脳震盪で試合を離れることになりましたが、それ以上に、49ersはその後のFG失敗を含めて得点機会を失いました。それだけ、シーホークスの守備陣のボールに対する執念がこの試合では優っていました。

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キャム・チャンセラーのハードヒットで倒されるバーノン・デービス

三つ目はシーホークスのルーキーQBラッセル・ウィルソン。シーズン前、多くのファンは「ウィルソンって誰?」という存在でした。第4週のマンデーナイトフットボールでは、ウィルソンは代理審判によるあの疑惑の判定で試合が決まった時に、ロールアウトからロングパスを投げたQBでした。しかし、今やウィルソンは「あぁ、あの時のQBか」というトリビア的存在ではなく、「あぁ、あの沈着冷静なQBか」という印象を全米に与えたことでしょう。それを印象づけたのが、ウィルソンがこの試合2本目のTDパスを決めたシリーズでした。自陣40ヤードという好位置から始まったシリーズで、ウィルソンは急いで前へ進むことはせず、リンチのランや短いパス、時には自らのスクランブルで我慢強く前進を図りました。そして前半終了2分前を控えた最後のTDプレイでも、TEのアンソニー・マッコイにモーションを命じ、プレイクロックが0秒になるまで待ってからプレイを始め、そのマッコイへパスを決めました。NBCの放送ではこのプレイでの時間の使い方を高く評価していました。このプレイでコールをする際にマウスピースがこぼれ落ちながらも、それを口に入れなおすことができるくらい冷静なウィルソンには、1秒を他の人よりも長くできる能力があるかのようでした。

そしてこの試合で印象的だったことの最後は、シーホークスのファンでしょう。NFLのフランチャイズでもトップクラスのうるさいフィールドと言われるこのシアトルのスタジアムにおいて、この日のファンはいつも以上に相手チームの攻撃陣にプレッシャーを与え続けました。その結果、まだ先発就任から日が浅いケーパニックは1stクォーター、試合開始から10分以内に2回もタイムアウトを取らざるを得ませんでしたし、前半に2回もディレイ・オブ・ゲームの反則を取られました。元々の先発QBアレックス・スミスの脳震盪により先発に取って代わったケーパニックにとって、この日は、最も辛い洗礼を雨のように受けた日だったに違いありません。

プレイオフ進出すら難しいだろうと言われていたシーホークスは、ここに来てプレイオフ進出を決めました。同時にウィルソンは今年の新人王候補として、ウィルソンよりも上位指名を受けたQB(ロバート・グリフィンとアンドリュー・ラック)と肩を並びました。今のシーホークスは、58点とか50点とか42点とか、ウィルソンのQBレーティングとか、見える力(数字)だけでなく、ボールへの執念やうるさすぎるファンの声援が与えるプレッシャーなど、見えざる力による複合的なの強さがあります。それに加えて、この時期にきて強さの源がひとつの流れとなり、”#BEASTMODE”の本気スイッチがONになったようです。シーホークスのファンは今すぐサンタクロースに希望するクリスマスプレゼントを「スーパーボウル優勝」に変えるべきです。

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[NFL・MLB短評]That’s Fine!

Alex Smith nearly fined $15,000 by NFL for wearing SF Giants cap | SFGate.com (2012/9/19)
RGIII, Alex Smith learn all about logos – The Early Lead – The Washington Post (2012/9/20)
Bochy gets support for wearing Niners cap | MLB.com (2012/9/21)

アメリカンフットボール、というよりNFLは、大胆なプレイとは裏腹にルールに関しては非常に細かく適用します。ファーストダウンを取ったかどうかがは微妙なときは、例え数インチでもしっかりと計測します。QBのフォワードパスによるパス失敗か、それともディフェンスの選手がQBからボールを叩きだしてファンブルとしたかどうかも、ビデオリプレイでしっかりと検証後、公式サイトにその説明が載るほどです。試合を左右するルールであれば細かく適用するのもわかりますが、NFLはそれ以外の面でも実に細かいルールを定め、選手やコーチにそれらを課しています。そのことが時にNo Fun Leagueと揶揄される一因でもあります。

先日、サンフランシスコ・49ersのQB、アレックス・スミスが試合後の記者会見でサンフランシスコ・ジャイアンツの帽子を被り登場しました。NFLではリーグと契約を結んだ企業以外の服やTシャツ、帽子などを試合前後の90分間着用してはいけないという服装規定があります。それはNFLが契約企業を尊重するというビジネス上の理由にほかなりません。しかしジャイアンツの帽子(たまたまこのときの49ersの相手は、ニューヨーク・ジャイアンツでしたが)は、この服装規定に違反するものでした。さらにサンフランシスコ・ジャイアンツはNFLにとってライバルになるスポーツリーグのチームです。そのため、NFLはスミスに15,000ドルの罰金を課そうとしました。現在、NFLで罰金に関する問題を扱っているのが、元49ersのコーナーバックだったマートン・ハンクスです。彼は事情を考慮してか、今回はスミスに対する警告のみにとどめましたが、この一件がニュースサイトに流れることを止めるころはできず、西海岸の出来事であるにも関わらず、東海岸のワシントン・ポストでも取り上げられました。

NFLの服装規定は、それがギャグだろうが何だろうがその立場は揺るぐことはありません。シンシナティ・ベンガルズのチャド・オチョシンコは、数多くのユニフォームに関わる「騒動」を起こしたことがありますが、かつて、チームメイトのクリス・ヘンリーがシーズン中に事故死した歳、それを追悼する意味で、ヘンリーのユニフォームを着て試合に出ようとしました。心意気は恐らく多くの人にものすごく伝わるものでしたが、リーグ関係者にはそれが理解できず、事前に警告を出しました。また、今シーズン初め、ワシントン・レッドスキンズのロバート・グリフィン3世(アディダスと広告契約)が、ナイキ製のレッドスキンズTシャツにあるスウォッシュの上に”HEART”と書かれたものを着ていたため、これもまたリーグから厳しいお灸を据えられる寸前までいきました。

49ersのスミスは純粋な気持ちでジャイアンツの帽子を被って記者会見に現れました。同じ地元チームの看板選手として、プレイオフ、ワールドシリーズ進出を目指しているジャイアンツを応援する気持ちがそこにありました。スミスは罰金を受けそうになったことに関して、このように述べています。

It’s weird. I could wear a Polo shirt after the game and they’re not going to fine me.

NFLはこの件を厳しく取り締まろうとして叩かれましたが、一方でジャイアンツはこの一件をうまく取り入れることに成功しました。ブルース・ボーチー監督が試合前の記者との雑談のときに、49ersの帽子をかぶり、スミスへの感謝と支持を表明しました。


さらにジャイアンツは#SFUniteと称して、スミスに選手のサイン入りの帽子を贈ることになりました。このあたりのジャイアンツの機動力の高さは見ていて楽しいものです。

今回のNFLとスミスを巡る一件は、NFLがフィールド上でのルールを選手に守らせる人物、レフェリーの問題とどうしても絡ませてしまいます。リーグと審判組合の契約上のいざこざにより、現在NFLは代理審判により試合を進めています。これが選手やコーチ陣からみると誤審続きと捉えられ、かなりの不評を買っています。この怒りは2試合が終わった時点で臨界点を超えようとしてます。このルール問題に関してリーグは「誰がやっても間違いはある」という立場を取っており、積極的に解決をしようとしません。一方でNFLが純粋な気持ちで行った選手の行為に対して、服装規定違反として15,000ドルの罰金を課そうとしたのは、不釣り合いだと言われても不思議ではないでしょう。

ちなみに、こうした同じ都市でリーグを超えた応援を選手やチームが目に見える形で行われるということは、日本ではまだ稀だというべきでしょう。日本でもJリーグとプロ野球、その他スポーツリーグのチームがひとつの都市に本拠を構えることが多くなりました。少しずつチーム間の交流はできつつあるとはいえども、日本ではどちらかというとJリーグと野球に壁を作る、あるいは比較対象の目で見ているように感じます。もちろん興行上お互いは競業ですが、地元チームとして盛り上げていこうという気持ちは同じであるはずです。スミスが純粋にサンフランシスコ・ジャイアンツを応援する姿勢を見て、地域内の繋がりの重要性も感じざるを得ませんでした。

[NBA短評]Dream Team LA

Dwight Howard traded to Los Angeles Lakers – ESPN (2012/8/10)
Dwight Howard trade reaffirms Lakers’ will to win – latimes.com (2012/8/11)

スポーツの歴史、特にアメリカのプロスポーツの歴史はスター選手とライバル関係の移り変わりにより形成されていると言ってもいいでしょう。ひとりのスター選手が出れば、必ずそれに対峙するスター選手が現れる、一つの強いチームが出れば、それに対抗するチームが必ず現れる。それがスポーツの歴史だと思います。

昨シーズン、不完全燃焼でシーズンを終えたロサンゼルス・レイカーズにとって、これまでの栄光と派手さゆえ、今では数多くのライバルを目の前にしています。同じロサンゼルスにはクリッパーズというプレイオフ進出可能性を秘めたチームがあります。NBAのウェストディビジョン内には、衰えを知らないサンアントニオ・スパーズや、ケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルック率いる若くて昨シーズンのファイナル進出を果たしたオクラホマシティ・サンダーが存在します。NBA全体を見た場合、レイカーズが最終的に叩かなれけばならないスター揃いのチーム、マイアミ・ヒートがあります。しかし最大のライバルは、コービー・ブライアントがあとどれだけプレイできるかという時間との戦いなのかもしれません。

いずれにしても、昨シーズンの悔しさと来シーズンのファイナル進出を阻むだけの要素が数多くなる中、レイカーズはただの傍観者ではありませんでした。それどころか、積極的な選手獲得に動いています。レイカーズはFA市場が開幕してすぐ、スティーブ・ナッシュをあっさり獲得して周囲を驚かしました。そして今回、かねてからオーランドを出ると言われていたドワイト・ハワードを4チームが絡むトレードにより獲得することに成功しました。

1996年にフリーエージェントだったシャキール・オニールはオーランド・マジックからレイカーズへ移籍し、オニール去った後のオーランドでは、ハワードが顔でした。しかしなかなか自分に見合うチーム強化がされなかったこともあり、ロックアウトで短縮された昨シーズン開幕直後から、ハワードはいつ西海岸のチームへ行くのかと噂されていました。これからはもうその噂をする必要はなくなりましたが、奇しくもハワードはシャックと全く同じ道を辿る結果となりました。マジックはレイカーズのマイナーチームになったという声すら聞かれるほどです。

ハワードは背中の手術の影響で開幕には間に合わない可能性があると言われていますが、ハワードがチーム入りした後の先発5人を見れば、ロンドン・オリンピックのドリームチームも霞むくらいの”not bad”どころか”great”な選手ばかりです。パウ・ガソルはスペイン代表ですが・・・


ちなみに、このメガトレードはオリンピック期間中に行われたため、アメリカ代表のアンドレ・イグドーラはロンドンにいる間にフィラデルフィア・76ersからデンバー・ナゲッツのトレードを言い渡された格好になり、ガソルはそのときスペイン代表としてロシアと戦っていました。

確かにレイカーズのトレードはメガトレードであり、オリンピックのドリームチームが霞むほどではあるけれども、レイカーズにとってはごく当たり前なこと(a move the Lakers have always done)かもしれません。ロサンゼルス・タイムズのBill Plaschke氏が非常に的確な見方を示しています。

From Jerry Buss to Jimmy Buss. From Jerry West to Mitch Kupchak. From the Forum to Staples Center. Names change, the locker room moves, but as they shouted to the world on a lazy day in the middle of summer, the Lakers are still the Lakers.

They trade for Wilt. They trade for Kareem. They win a coin toss and draft Magic. They make a deal with Cleveland and draft Big Game James. They do their homework and convince Charlotte to draft Kobe for them.

They sign Shaq. They trade for Pau. They pick up the phone and quietly steal Steve Nash from everybody. And now this, Thursday’s era-shaker, a move that other teams might not have done, a move the Lakers have always done.

しかし、個人的にはこのトレードを最初に知った時、むしろ1994年のサンフランシスコ・49ersを思い出しました。49ersが1980年代後半にNFLを席巻した後、1990年代に入ると低迷を続けていたダラス・カウボーイズの時代がやって来ました。49ersはその悔しさを経験した後、ベテラン大物選手、特に弱点とされていたディフェンス選手を次々と獲得しました。その多くはスーパーボウルリングを渇望する選手ばかりで、リッキー・ジャクソンはリング欲しさに最低年俸で契約をしたほどです。その甲斐があってか、49ersはこのシーズンにスーパーボウルを制覇しました(ただしこれ以降49ersはスーパーボウル進出を果たしていませんが)。

今回、レイカーズが加入させたナッシュとハワードも、まさにこのときの49ersに似ているように感じがしました。どちらも大物かつNBAファイナルのリングを渇望しています。ハワードが今回のトレードに際して”Making some wishes”とレイカーズでならばその夢を叶えられる可能性が強いのです。なおかつ、コービーがレイカーズそして現役でいられる期間も少しずつ短くなっています。そして、レイカーズは新たなシーズンを倒す目標とされるチームではなく、倒す目標を持つチームとして挑むことになります。それに向けてレイカーズが選んだものは、レイカーズにとってはいつもの道でした。しかしそのインパクトはレイカーズだからこそ放つことができる強いものであり、これによりNBAの勢力図は大きく更新されました。それとも、これはHoward Bryant氏が言うように、レイカーズのようなロサンゼルスという世界に冠たる街のチームだからこそできるものなのでしょうか。

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